ダイオキシン政策


 ダイオキシンの毒性について世間が騒々しくなりだした頃、私は不可解に思っていた。
先ず、「ダイオキシンはそんなに恐ろしいものなのだろうか?」 そして
「そんなに恐ろしい物質が全ての燃焼から発生するのであろうか?」
人類誕生以来営々と続いた日々の燃焼によってそれほど恐ろしい物質が発生していたとすれば、とうの昔にその影響は甚大なものになっていたはずである。 家の中にかまどがあり、いろりがあった時代、人々は日々ダイオキシン発生源の至近距離に居たはずである。
焼き芋、きりたんぽ などは汚染食品のはず、燻製に至ってはその筆頭のはずである。

 単純な発想であるが、疑問に思って当然ではないであろうか。

「ダイオキシン類対策特別措置法」が99年7月16日 国会で全国会議員の賛成の元に制定されたと聞くに及んで唖然とした。 国会議員の誰一人として疑問に思わなかったのであろうか。
戦艦大和の出撃を決定するに際して、海軍で誰一人として反対意見を述べなかった、その結果2000人の将兵の命が無駄に失われたのである。
 山本 七平氏は1970年代と記憶するが、文芸春秋に「日本における空気の醸成」という論文を記しておられる。 「戦艦大和の出撃に反対できる空気ではなかった」海軍内での空気が2000人の命を失わせることになったのだ。 国会議員全員が思考を停止したとは思いたくない。 「ダイオキシン類対策特別措置法に反対できる空気ではなかった」のであろう。


 燃焼に伴いダイオキシンが発生することはどうやら事実らしい、が、その量は果たして恐れるべき量なのであろうか?

 理解を助けるような報道は皆無であった。 書き手自ら理解していると感じられる記事は見当たらなかった。 マスコミは、ただ、恐ろしさを喧伝するのみであるようにしか見えなかった。 書かれているデータも自然な現象を都合よく当てはめているに過ぎないのでは?と疑問を持つようなものばかりであった。
自分には「焚き火をしてはいけない」などと言われても納得できないし、そう言う人に聞いても説明できる人は一人も居なかった。

 外国ではドイツの事情しか知らないが、合板など接着剤を使った材料は燃焼しないことになっているが、純粋な木材の熱源利用は推奨されている。 中規模以上の木工所用では木くず用のサイロと自動燃焼装置【注】は当然設置されている。 小規模木工所では木くずを圧縮して塊にする機械を使いストーブにくべて使うのは当然である。 最近では家庭でも暖炉が好まれ薪の消費が増えているそうである。 化石燃料を無駄に消費しない、という点でも好感がもたれているようである。

木くずを廃棄するために化石燃料を使って輸送し、化石燃料を使って焼却処分をするなど想像を絶する資源の無駄遣いであろう。

【注】木くずを噴射して燃焼し、温水を作る 水温が上がると燃焼を止め、下がると自動的に燃焼を再開する 木くずが不足すると自動的に軽油燃焼に切り替わる。 このようなボイラーは常時稼動しているのが常識である。 休暇で何週間か留守にする時にもボイラーは止めない。 ボイラーを止めるのは煙突掃除の時だけである。 温水は給湯と暖房に使う。


 自分には1960年代に騒がれた「味の素 毒性騒ぎ」と同様にしか見えなかった。 味の素も大量に摂取すれば人は死ぬ。 醤油もしかり。 当時、味の素を使うと直ぐにも死ぬかのような記事が氾濫していた。
「天然のものだから安心」という妄想がある。 ちょっと考える人ならそんなばかなことは信じないであろう。天然トリカブトはやはり毒なのだ。  石油精製品というと危ない と言うが、石油も天然の産である。

 2003年2月18日の東京新聞 科学欄に ダイオキシン「猛毒説は妄想」という記事が載った。 まさに私の疑問を氷解させる内容であった。 その内容は理解でき納得できる。 この記事はこのページに使うつもりで保存していた。 早くも4年近く経ってしまったが ・ ・ ・ 。

渡辺 正 東大生産技術研究所教授(生体機能化学)と記者との応答は充分に納得がゆく。 やはり、人間の人間たる所以(火を使って生きてきた生物)は何ら問題にする必要がないことであったのだ。

このヒステリックなダイオキシン排斥運動の最中、よくぞ正論を吐いてくださった、そして中日新聞(東京新聞)がよくぞ記事にしてくれた・ ・ ・ と思った。

渡辺 正 東大生産技術研究所教授(生体機能化学) 林 俊郎目白大教授 共著 「ダイオキシン神話の終焉」 はその後購入して読んだ。

是非多くの方に読んでいただきたい書である。
平易、理解しやすく、科学者として真実を伝えなければならないという良心が切々と伝わってくる内容である。

 心あるものならば、この本を読んだ後、燃焼できる廃棄物を 石油燃料を消費して搬送し、石油燃料を使って焼却し、大金をかけてダイオキシン濃度を監視する愚に賛同したくなくなるであろう。

リンク
気付いた一部のみを掲げる、反論のサイトもあったが、見るべきものは見つからなかった。


有機化学美術館  のダイオキシンは猛毒なのか 

ニュースの中の化学物質 に出てくる ネイソン・ゾナー君は現代の病をよく検証している。

渡辺 正 東大生産技術研究所教授(生体機能化学) 林 俊郎目白大教授 著 「ダイオキシン神話の終焉」

「茨城県のダイオキシン対策」 井出よしひろ県会議員の「ダイオキシン神話の終焉」の要約

ダイオキシンではないが、参考までに 名古屋大学教授 武田邦彦氏の、 http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/F1/proftakeda/kankyou/recycle/

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