自 動 車


自動車産業が日本の経済活動の大きな部分を占めていることは理解できる。 自動車の生産量を減らすことによるエネルギー消費の節約は大きなものであろう。 ヨーロッパの感覚からすると日本人の自動車浪費は贅沢を極めていると感じる。

節約が経済に与える影響については筆者には理解の範疇ではないが、両者が成り立つ接点は現状とは異なるところにあるのではないかと思う。


プリウス・ハイブリッドカー・電気自動車

 Priusに代表される エコカー本当に環境にやさしいのであろうか?
私は当初より大きく疑問に思っている。 自動車産業と自動車関連産業、さらに電気・電池産業の欺瞞が満ちているように思われてならない。 さらにマスコミの論理をわきまえない情緒的なエコ活動に扇動されてしまう社会にも疑問だけでなく怒りを覚える。

 内燃機関で直接駆動をする必要がなければ、内燃機関は効率・排気などの理想状態で運転することができるので環境に良いことは理解できる。 しかし、電気を蓄えて走るには必ず蓄電池が必要になる。 蓄電池の生産にどれほどのエネルギーが必要か? どれほどの廃棄物が排出されるのか? さらに重要なのは、蓄電池の寿命がどれほどあるのか?そしてそれを廃棄あるいは再生するにはどれほどのエネルギーが必要で環境負担がどれほどなのか? これらは全て私にとっては疑問のままである。 マスコミも報道しない。

 名古屋近辺で聞いた話であるが、「トヨタの技術者はプリウスは買わない」そうである。なぜなら、蓄電池の寿命は長くなく、何年かしたらば交換しなければならない、その時に掛かる費用を考えると到底燃費が良いことなど帳消しになるから・・ということらしい。
これは私の想像していたところである。

 マスコミは「電気を使えばエコ」と何の考察もなく等式を既定のことのように扱っている、これに社会も騙されている。 電気を得るには何が必要なのかを考えれば、それほど簡単な等式は成り立たないのである。

マスコミの愚はこのページ

アイドリングストップ宣言

内燃機関は残念ながら停止状態から自力で起動できない。 使わない時もアイドリング運転をしていなければならな宿命にある。
しかし、ある程度の時間停止している間、エンジンを停止するのは何ら問題はない。 交差点での信号待ちの間、踏み切りで鉄道の通過を待つ間 エンジンを切るのは30年前でもヨーロッパではあたり前であった。 「アイドリングストップ宣言」というシールは頻繁に見かけるが、実際にアイドリングを停止している車は極稀である。

・ アイドリングを止めることにより
 石油化石燃料の消費を減ずることができる(その量は大きくはないが)
 排気濃度(特に交差点周辺の)を多少下げることができる
 不要な騒音を減らすことができる
・ 欠点は
 起動モーターを消耗する(とは言え、ヨーロッパでは当たり前に実行して問題を聞かない)。

事実上欠点は無いに等しい。 燃料削減装置は売り出すが、技術は使うが 意識は低いのが日本の特徴。 ヨーロッパでは技術に頼るよりも個々の意識に負う方が大きいように思う。技術を開発する必要もあるが、その前に意識があってこそ技術が物を言うのではないであろうか。


暖気運転

暖機運転をして自動車を大切にするのだそうだ。 確かに理に叶っていると思う。 1970年頃であったと思う、ADAC(JAFに相当するドイツの自動車連盟)は一つのレポートを出した。 暖機運転によって得られるエンジンの延命と、暖機運転によって失うものを天秤にかけたのである。 結果は暖気運転によって得られるものは無い、と出た。 冬には-10℃になることも珍しくない土地である。それでも暖機運転は不要というのだ。 騒音・排気・燃料の消費 を考えれば止めるべきであろう。
ドイツでは、暖機運転は禁止になっている。

暖機運転をするほど車を大切にするが、そもそもエンジンが寿命になるまで使う人が居るのであろうか? 車は「古くなった」の一言で処分されているのが現実ではないか。


自動車の耐用年数

新車から5年も経ると古い車と言われる。 10万Km走行した車は中古市場でも売れない。
そんな常識が常識でよいのであろうか? ヨーロッパでは10万Km走行した車でも「まだ乗れる」と言うのが普通。 自家用車であってっも20万Km乗る人は決して珍しくない。
まだ走れる車は徹底的に乗るべきだと考える。 使える車を廃棄する贅沢、新車を製造するエネルギーの消費をどう考えるか、再考する必要があるであろう。

一昨年であったか、1都3県のディーゼル規制、なぜ「新規登録を認めない」とせず、全面的「使用禁止」にしたのであろう? 単に自動車業界に利しただけではなかったのであろうか? 新車製造と廃車処分に掛かるエネルギーや廃棄物などを総合的に天秤に掛けて、それで全面使用禁止にする理由があるという説明はついぞ聞かなかった。 またマスコミがそのような疑問を呈するのを聞かなかった。


無用な運転を減らす

  これはヨーロッパで当たり前に見かける光景である。 職人さんは多くの場合、自家用車にトレーラーを引っ掛けて現場へ行く。 自家用車とトラックを持つなどという贅沢はしないのである。 こういう話をすると「日本の道は狭いから・・」と必ず言われる。 とんでもない、ヨーロッパの旧市街など、日本の比ではないほど狭く折れ曲がった道はたくさんある。 そのような場所に荷を運ぶ時にもトレーラーを使っている。 さらに狭くて曲がれなくなればトレーラーを外して手で押すことさえ可能なのだ。 軽トラックより多くの荷を積め、価格は1/3程度、保守費用もずっと少なくて済む、税金保険も安い、そして無駄が少ない。何故、日本でトレーラーが普及しないのか、させないのか、実に不思議である。

石油の購入の無駄

  暖房に使用する石油の購買単位は18L、寒冷地で石油を使うところでも多くの家庭では90Lである。
こればかりの石油を運ぶために自動車を動かしてガソリンを使うことに疑問を感じる。

ドイツで住んでいたのは、冬は-15℃にもなることがある土地であった。暖房期はおよそ10月から4月までのおよそ半年。

我が家の軽油タンクは900Lであった。年2回給油を依頼しなければならなかった。
友人は「そんなもったいない、タンクを増やせば?」と言っていた。購入量が増えれば単価が安くなる、タンクの容量が大きければ市場価格が安い時に購入できる。 そして輸送に燃料を使わなくて済む。
この石油で一年中の給湯とおよそ200平米の住宅の全て(トイレ、風呂場も)の暖房をまかなっていた。

ドイツでアパートを経営している知人は12000Lのタンクを庭の地下に持っていると言っていた。アパートの住人が個々に18L単位で石油を購入して、5Lなどという単位で部屋毎にストーブに給油している姿はドイツ人には想像できないことである。

日本では90L以上の石油を貯蔵するには許可が必要なので、大容量のタンクを置く家庭は無いのであろう。 タンクの規格を厳しくして家庭でも一冬分の石油を貯蔵できるようにできないものであろうか。

ドイツで、18Lの灯油を買おうとしても買うことはできないであろう。

技術偏重、意識は皆無
標語で事態が良くなるのであろうか?

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